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第441話

「…………ッ」  叫び、のたうち回りそうになるのを必死に堪え、縋るように薬包を煽る。早く治まれと、グニャグニャと蠢いて煩わしい心臓を押さえるように胸元を掴んだ。  努めて深呼吸しようと、強く拳を握ろうと、溢れる涙は止まらなくて、声を殺そうとすればするほど喉が焼け付くようだった。手早く帯を解き夜着を脱いで、泉に肩まで身を浸す。こうしていれば、もしも誰かに見つかったとしても泣いていることを誤魔化せるだろう。――なんて、こんな時でも外面を取り繕う自分に嫌気がさす。バシャンッと水面を叩けば、跳ねた水飛沫が顔や前髪を濡らした。 〝今回の雪ちゃんは全部を間違ったんだから〟  色を使った以上、褒められるだなんて思ってはいなかった。胸を張れるものであるとも思っていない。だが同時に、完全な間違いだとも思っていなかった。だからだろうか、全員に間違っていると否定されて、こんなにも胸が荒れ狂っている。

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