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第442話

 あれほどに皆が否定するのなら、確かに己は間違ったのだろう。けれど考えても考えても、あれ以上に最善で最適な策が思い浮かばない。思い浮かばないのに、自分が最善だと思っていた策は間違いで、誰にも認められることはなかった。ならば、きっとこの話を知ったら弥生達も間違いだと思うのだろう。その瞬間が恐ろしくて、知らずガタガタと身体が震えた。  いつもは淡々としている周があれほどに声を荒げた。ニコニコと微笑む蒼が真剣な顔をして間違いだと断じた。由弦でさえ、怒っているとハッキリ口にした。湊とサクラは何も言わなかったけれど、無言で雪也の側を離れた。なら、弥生は? 優は? 紫呉は?  自己犠牲が美しいだなんて豪語はしないけれど、自分を犠牲にしてすべてが上手くいくなら、それで良いと思っていた。犠牲などと言っても、少し体調を崩す程度で、そう大げさなものではない。そんな小さな犠牲ですべての憂いが取り除けるならば、迷う必要などないと。 〝それは誰に対しての言い訳?〟  違う。違う違う違う――。 「違うッ!」  そんなんじゃない。そんなつもりはなかった。ただ、その方が良いって、それが最善だから、だって周は子供で、由弦もサクラも戦えなくて、浩二郎は刀を持っていたから、尊皇の志士である彼に弥生の存在を気づかせてはいけないから、だから、だから一人で、だって、ちゃんとできるって、ちゃんと、思う通りにできたから――。 (でも、これも結局は……言い訳)

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