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第452話
「姫宮様も最初からお気づきでございましょうが、衛府は衛府の思惑で華衛合体のため上様と姫宮様の婚儀を願いました。国のため、民のため、そして我々からすれば衛府のため、姫宮様から故郷で摂家の者と婚姻し穏やかな一生を終える未来を諦めさせ、姫宮様にとっては心休まらぬであろう城での生活、御上としての生活を強いました。そして、それでも上様のお側で微笑んでおられたというのに、最期に上様とお過ごしになる時間、会話のひとつさえ奪い、叶えて差し上げることができませんでした。確かに、先程も申し上げた通り、このように頭を垂れるは自らを大きく評価していることになりましょう。しかし春風としてではなく、私は姫宮様にお詫び申し上げたい。――私もまた、他の近臣と同様、すべての事に対して反対はいたしませんでしたから」
申し訳ございません。国のため、民のため、衛府のためと正当化するように大義を掲げ、あなた様を犠牲にした。
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