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第505話

「ごめんごめん。ちょっと驚いたから叫んじゃった。サクラー、出ておいでー」  どうしよう、とアワアワしている周を雪也が苦笑しながら宥めている間に、湊は由弦の袴に手を入れるとサクラを持ち上げて引き出した。良い感じに納まっていたというのに引きずり出されたサクラは「解せぬ」とばかりにムッとしていたが、湊に抱っこされて撫でられれば、すべては不問に処してやるといったように笑った。 「サクラは欲望に忠実だな。ま、いいけど。それより雪也、どうだった?」  撫でてくれれば何でも良いのかと呆れながら、それでもサクラの背中を撫でつつ由弦は雪也に視線を向けた。思い出したように周も不安そうな瞳で雪也を見る。そんな二人を安心させるように雪也は微笑んだ。 「大丈夫、あの方たちじゃなかった。でもなかなかに物騒だったから、今日はもう外に出ない方が良いかもしれない。周、食材足りそう?」  どこに誰の目や耳があるかわかったものではない。今は弥生達の名前を出すべきではないだろうと判断してぼかしながら言えば、それで理解できたのだろう二人は揃って安堵の息をついた。

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