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第512話

「それは嬉しいけど、それだと行き帰りで湊が独りになる時間が多くなっちゃう。僕や周は安全かもしれないけど、湊の安全が皆無になってるよ」  蒼の店から庵まではさほど遠いわけではないが、すごく近いわけでもない。さらに言えば、湊の家から蒼の店までも、ほんの少し距離があった。さすがに独りの時間を完全に無くすということは不可能であるが、湊のやり方では、湊が独りになる時間が長すぎる。 「そうだぜ湊。時間に縛られてないのは俺も同じなんだから、周の買い出しと雪也の配達は俺がついてく。なんなら、三人で同時に行って配達と買い出しを一緒にしても良いんだしよ。だからそう自分一人でやろうとすんなって」  そんな悪癖を持つのは雪也だけで充分だと渋面を作る由弦に、言葉にされないそれを感じ取った雪也は苦笑し、湊はどこか芝居がかった仕草でヒョイと肩を竦めた。

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