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第515話

「……領主たちは、手を取ると思うか?」 「取るだろうね。取らない理由がない」  紫呉の問いに優は迷いなく答えた。まだ報告はないが、もしかしたらもう、華都と手を組んだ領主が幾人かいるかもしれない。 「もしも取らない領主がいるとしたら、野心も何もなく、ただひたすらに衛府に忠誠を誓っている者だけだろうね。でも、肉親でさえ争い合うこの世に、そんな人は皆無とは言わないけど、大勢いると楽観視はしないよ」  ここで重要なのは〝衛府〟に忠誠を誓っているという点だ。国でもなく、華都でもなく、衛府に。例え負け戦になろうとも衛府の為に最後まで尽くすという者を、近臣を含めたとしても優は思いつくことができない。 「上様の考えはどちらかと言えば春風家に似ているんだけど、如何せん高潔すぎるね。自らの利益を捨てきれない近臣たちとは相容れない」  茂秋が良かったかと言われればそうとも言えないが、それでも芳次と比べれば他者の醜い欲を見逃すこともあれば、徹底的に排除しようともしなかった。茂秋の考えが必ずしも正しいなどとは言えないが、そのことで衛府の護りである近臣の心が芳次から離れているのもまた事実である。

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