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第516話

「もしかして、今のもソレか?」  いま弥生が会っている近臣も異常なほど取り乱してやって来た。今の話の流れを考えるにもしや、と紫呉が優を見れば、彼は静かに頷いた。 「ま、随分と搾取してたみたいだから、人としても近臣としても決して良い人とは言えないけどね。でも、ああ見えて数十万の私兵を持つ大家の御曹司だから、どうなることかな」  優の記憶が正しければ、あの家はどれほど愚かな息子であったとしても見放したりはしないだろう。見放すどころか、息子可愛さに衛府へ牙を向けるかもしれない。今どんな話し合いをしているのかは不明であるが、芳次ほどではないにしろ、欲望という汚れを嫌う弥生はどうしているのか。少し気がかりになって優は書物をめくる手を止めた。

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