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第542話
「……主上に、私から文を書きましょう。織戸築と峰藤が動くのであれば、もはやただの暴動では治まりますまい。近頃、大御上さんの調子が悪ぅて、臥せることが多くならはりました。もうお歳やし、それ自体は仕方のないことやと思いますが。もしも大御上さんに何かあれば、峰藤は衛府に遠慮する理由が無くなるでしょう。織戸築など言うまでもありません。ならば、あとどれほど猶予があるかわかりませんが、主上の情けに賭けるより他ありますまい」
その帝もまた、摂家や彼らが焚きつけた領主たちをどこまで抑えられるかわからないが、それでも彼らの掲げる旗印が〝尊皇〟であるのならば、まだ少しは希望が持てる。
「すでに華都を離れた私の文にどこまでの力があるかわかりませぬが。それでも、弥生さんに託します」
文を書きましょう、と立ち上がった静姫宮に弥生は頭を垂れた。
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