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第814話

 夢を見ていた。  長くて、残酷で、優しい夢だ。  永遠のモノなどないとわかっていながら、それでも唐突に奪われる苦しみに慟哭した夢。  約束をした。  願った世界で、ずっと一緒だと。  言葉にしたのは優とだけだったけれど、想いは誰に対しても変わらない。  教えてあげなければならないことがあった。  教えられなかったことがあった。  本当は伸ばしたかった手。  呑みこまなければならなかった、叫びたかった言葉。  もしもを考えればキリがないくらいに、  何でもないフリをしたけれど、  本当は心の奥底で後悔している。  だから、もう一度。  約束を果たそう。  平和な世界で、明日が当たり前にくる世界で、未来を語り、笑いあえる世界で。  あなたと、共に。

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