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第23話
「俺が一緒に帰る。雪也と一緒で、もう帰るだけだから」
普段口数の少ない周であるが、こういう時は断定的な言葉を告げる。そうすると雪也が反論できないことを知っているからだ。雪也に好意を寄せる男女からは〝雪也の番犬〟などと言われている周であるが、由弦としては周が側にいてくれるなら安心だ。
「雪也の好きな卵焼きも作ったから、食べて」
ボンヤリとしているせいだろうか、渡されたおにぎりをチマチマと食べる雪也に、周はあれも、これもと取り皿に盛る。それは由弦たちにとっては少ない量であったが、雪也には少し多いようだった。
「大丈夫だから、周も食べて。せっかく周が作ってくれたんだから、誰よりも食べないと」
ポンポン、と雪也が宥めるように周の髪を撫でる。そして半分閉じた目でおにぎりを食べる雪也に紫呉は目を細めた。
「周、雪也、早く食っちまえ。俺もこれで終わりだから、一緒に帰る」
言って、米をかき込む紫呉に由弦は視線を向けた。見慣れた彼の瞳は心配そうに揺れていて、ほんの少し首を傾げる。
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