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第22話
「どうした雪也。また眠いのか?」
どこか揶揄うように言う弥生に、雪也はボンヤリとした視線を向けた。ふわりと笑みを浮かべるが、その動きもまたどこかゆっくりとしている。
「いいえ、特には。今日はもう終わりだから、気が抜けたのかもしれません」
もう帰るだけだから、実際に眠かろうが何だろうがどうでも良いと言う雪也に心配そうな顔をしたのは、から揚げを頬張っている由弦だった。
「雪也、帰るんなら俺も一緒に帰ろうか?」
次に出なければいけない講義まで時間はたっぷりとある。幸いにルームシェアをしている家は大学にほど近いのだから、雪也を家に送り届けることはできるだろう。だがそんな由弦に雪也はゆっくりと首を横に振った。多くの事に関して誰にも頼ることのない雪也が否と示すのは予想の範囲内だ。だが由弦どころか雪也が何かを言う前に、周が口を挟んだ。
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