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第75話

「俺はどうしたら良いと思う? 今の俺は、雪也達から見て、先輩から見て、変、なのかな」  自分でもよく分からないのだ。どうして自分はこんなにも紫呉の幸せに執着しているのだろう。どうして、紫呉が幸せでないかもしれないと考えるだけで胸が締め付けられるのだろう。  雪也を好きなのは、何も紫呉に限った話ではない。もしも雪也が紫呉と付き合えば、周やその他の由弦が顔も名前も知らない大勢の人々も失恋に苦しむことになるだろう。雪也は一人なのだから、当たり前のことだ。なのになぜ、紫呉が悲しむかもしれないというだけでこれほどに苦しいのか。 「ずっと幸せでいてほしいんだ。何にも諦めないで、失わないで、笑っててほしいんだ。それを、ずっと、見て、た、い」  言いながら、自分は何を願っているのだろうと口元を抑える。紫呉が雪也を好きで、雪也がそれに応えたら、当然ながら二人で過ごしたいと思うものだろう。このルームシェアだって大学を卒業したらどうなるかわからないのだ。ずっと紫呉の笑っている姿を見ていたいなんて、現実はそう簡単にできてなどいない。なのに、自分は何を言っているのだろう。

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