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四日『石の日』
混雑を避け、遅れて行った初詣。
「あ、ノブくん、クレープ屋あるよ。俺ブルーベリーのやつ食べたいっ、え……ぅわぁぁぁっっ」
並ぶ出店に気を取られて、足元に大きな石があるのに気が付かなかった。走り出そうとして盛大にコケた晴日を周りの人たちが一斉に振り返る。
「いったあぁぁ」
信周が笑いながら、恥ずかしさと痛みで半べそをかく晴日の膝をよしよし撫でてくれた。
「子どもかよ。ほら、痛いの痛いの飛んでいけ。治ったらクレープ買いに行こうな」
「やだ、やめてよ。恥ずかし……」
ますます恥ずかしくなって、晴日は痛みを我慢して慌てて立ち上がる。
「はは、えっとハルはチョコバナナだっけ?」
「……ブルーベリーだってば」
「そうだった。じゃ、俺はティラミスにしようかな。歩ける?」
「……うん」
信周が寄り添うように隣に立つと、晴日はまんざらでもない表情で小さく頷いた。
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