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五日『囲碁の日』

「何それ、囲碁?」 「うん」 「ハル、囲碁なんてできたんだ?」 「うん、まあね。俺、小学生のころ、子ども囲碁大会で三位になったことあるよ」 「えマジか、すげえじゃん」 「うへへ……」    晴日はベッドに俯せになりスマホゲームに夢中だ。小さいころ祖父の家に遊びに行ったとき、いつも五目並べをして遊んでいた。そのうち祖父が囲碁のルールを教えてくれて、それからはちょくちょく対局もするようになった。それはまだ、晴日が小学校低学年のころで、信周と出会う前のこと。晴日は足をぱたぱたと動かしながら、真剣に次の手を考えている。  ――へえ、意外……でもないか。ハル、じいちゃんばあちゃんっ子だったからな。  信周には囲碁はわからない。となりにそっと座ると、読みかけのミステリーを手に取り、静かに読み始める。

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