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十四日『バレンタインデー』

 晴日がバイト先でチョコレートケーキを買ってきた。『Happy Valentine』のプレートのついた小さなホールケーキ。売れ残って半額になったケーキが更に社員割になる。買わない手はない。二人で豪快に直接フォークを突き刺して食べる。 「美味しいね」 「うん、俺、ハルんとこのケーキが一番好きだな」 「でしょぉ? 美味しいよねぇ」  信周は満足そうにもぐもぐと口を動かす晴日の口元をじっと見つめ、そして笑った。   「ハル、チョコついてるよ」 「ん?」  信周は晴日の肩に腕を回して引き寄せると、唇の端についたチョコクリームをぺろっと舐め取った。

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