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二十一日『漱石の日』
カーテンを閉めに行ったはずの信周が窓辺に立ったまま外を眺めている。晴日は隣に立って一緒に空を見上げた。
「ノブくん、何見てるの?」
「ああ、月が綺麗だなあって」
信周はそう呟いて晴日を見つめた。晴日は驚いてあわあわと目を見開いた。
「ど、どしたの? ノブくんってそういうこと言う人だったっけ?」
「ん? ハルこそどうした? ほら、でっかい満月」
「あ……ほんとだ」
晴日の反応がおかしくて、ついからかってしまったけど。
――愛してるよ。
心の中でそっと晴日に呼び掛ける。今夜は見事な満月である。
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