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◆三月◆一日『豚の日』
課題をしているはずの晴日が、ノートの余白に何か真剣に書きこんでいる。いや、描きこんでいるのだ。極端に簡略化されたその落描きは……。
「何描いてんの、豚?」
覗いてきた信周を見上げ、晴日はむっと唇を突き出した。
「違うもん。くまだもん」
「えっくま? くまはこうだろ?」
信周が晴日のくまの横にもう一匹動物らしき物体を描き始める。こちらは凝りすぎで、もはや正体不明になっている。
「うははは、たぬき~」
「それならこうだ」
「ぶへへへへっ」
お絵描き大会が始まった。ノートには奇妙な動物の絵がどんどん増えていくのに、晴日の課題は一向に進まない。
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