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二十八日『ビスケットの日』

 信周が大河ドラマを見ている横で、晴日は興味なさそうにビスケットをかじっていた。 「ねぇ、ノブくん。それ楽しい?」 「うん」 「ねね、ノブくん、これ美味しいよ。食べてみる?」 「俺はいいや。ハルが食べなよ」  信周は晴日のほうを見ようともしない。面白くない晴日は「ふん」と小さく呟いた。  ポリポリ、サクっ、サクサクサクっ、ポリポリポリポリっ 「なあ、今いいところなんだから、もうちょっと静かに食ってよ」  ようやくこっちを見てくれたと思ったら。信周に睨まれて晴日はぷっと唇を尖らせた。

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