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三日『耳かきの日』

「……ぅ……っ」 「耐えろ、ハル。あと、もうちょっと……っ」  信周の膝の上に頭を乗せて、晴日はぎゅっと目を瞑って息を止めている。覗き込む信周の顔は真剣そのものだ。やがて。 「よっしゃあ、取れた。すっげ、ハル見ろよ」 「うえぇぇ、でっかぁ」  ティッシュの上には巨大な耳垢。 「よし、次は反対だ」 「うん」  「うへへ」とすっきりしたように笑うと、晴日は今度は反対の耳を上にして寝そべった。

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