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五日『ミスコンの日』

 晴日はお怒りだ。信周に無理矢理ロリータ服を着せられた挙句、大笑いされたからだ。 「ねえ、ハル。ごめんって、可愛かったよ」 「……ふん」 「ほんと似合ってた、ハルならミスコン優勝できるって」 「……そんなの全っ然嬉しくないし」  むすっとしたまま晴日は「でも」と小さく続ける。 「……もう笑わないなら……あと一回くらい、着てやってもいいんだから……」  もじもじとそう言って、晴日は信周を見上げた。『本当は着たいんだろ?』そう言いたいのをぐっとこらえて、信周は大げさに頭を下げた。 「もう笑わないので、もう一回お願いします」 「そ、そこまで言うなら……」  まんざらでもない顔でも晴日はもう一度ロリータ服にそっと手を伸ばした。

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