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十一日『おうえんの日』
チャリチャリチャリ。
信周が持っていた小銭を募金箱へ入れた。
「ノブくん、いつも募金して偉いね」
「おう、少しだけどさ、必要としてる人の役に立てたら嬉しいからね」
にっこり笑ってさらりとそう言った信周を、晴日が尊敬のまなざしで見つめる。そんな晴日に、信周は心の中でそっと「ごめん」と謝った。
――普段電子マネーしか使わないからなあ。本当はあんまり小銭持ちたくないだけなんだけどね。
こっそりそう思ったのは晴日には内緒だ。
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