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十四日『花贈り男子の日』
「ノブくん、何か入れ物ない?」
ばたばたと帰宅した晴日が、ごみ置き場に直行する。
「お帰りハル。何すんの?」
「ただいま。あのね、これ摘んできちゃった」
「はは、子どもかよ」
「えへへ」
晴日の手には草花の束が握られている。可愛らしい水色の、小さな小さな花だ。
「これは? 洗ってやるよ」
そう言って信周は小さな栄養ドリンクの空き瓶を選び出した。無造作に活けた名前も分からないその花を、二人で並んで見つめる。
晴日が摘んできた花の名は『キュウリグサ』。
花言葉は『愛する人へ』『真実の愛』。
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