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十八日『点字ブロックの日』

 ――あ、そろそろノブくんが帰ってくる時間だ。  晴日はベランダに出て外を見降ろす。ちょうど向こうに信周らしい人影が見えた。  行き交う人々の中で、ふと信周は足を止めた。かがんで何かを拾うと道の隅にポイッと退ける。きっと点字ブロックの上に石でも落ちていたのだろう。  ほとんどの人が気にも留めず素通りしていくというのに。見ていた晴日の胸がじわっと温かくなる。信周のその自然なさりげない優しさが大好きだ。

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