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十三日『喫茶店の日』

 オレンジジュースのグラスをストローでかき混ぜると、カランカランと氷のぶつかる音がする。氷と一緒にさくらんぼがくるくる回っている。晴日は信周と待ち合わせだ。 「お待たせ、ハル。待った?」 「ううん、俺もさっき来たとこ。仕事お疲れ様」  テンプレみたいな会話を交わして、信周は晴日の前に座った。 「ノブくん見て、さくらんぼ入ってるの」 「あ、ほんとだ。俺も同じの頼もっかな」  初めて来たのになんだか懐かしいような、ほっとするような、居心地の良い喫茶店。店の入り口には立派な金木犀の木がある。秋にはやさし甘い香りでいっぱいになるのだろう。 「いい店だね。また来よう?」  ジュースを飲んで一息ついた信周に、晴日は「うん」と微笑んだ。

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