108 / 368
十八日『発明の日』
「ハル、これは何のつもりだ?」
ソファーに転がって漫画を読んでいた晴日は、いつもより低い信周の声に驚いてハッと顔を上げた。信周は三枚重ねのまま床に脱ぎ捨てられた服をつまんで、晴日の目の前にぶら下げてみせる。
「脱いだらカゴに入れろっていつも言ってるだろ? てか、せめて一枚ずつばらばらに脱げよ」
ぶつぶつ言いながらも、いつもまとめて洗濯をしてくれるのは信周なのだ。晴日は「ごめん」と小さな声で謝ると、起き上がってちょこんと正座した。上目遣いで信周を見つめる。
「でもさ、このまま洗ったら干すのも次着るときも楽じゃない? ね、大発明でしょ? 俺って天才でしょぉ?」
ドヤ顔の晴日の前で、信周もはや返す言葉もない。
ともだちにシェアしよう!