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二十三日『ビールの日』

「ねえ、ビール買えなかったぁ。俺成人してるって言ってんのにぃ」  買い物に行っていた晴日が唇を尖らせて帰ってきた。これから信周の同僚が遊びに来るのだ。 「は? 中学生にでも間違えられたんじゃないの?」 「えっ、ちゅ中学生? 」 「仕方ねえな、俺が行ってくるから留守番しっかり頼むぞ」 「ノブくんってば、俺子どもじゃないもん」  憤慨する晴日に信周はチュッと口付けた。晴日はすぐに機嫌を直して「にへっ」と笑う。 「泣いたカラスがもう笑う、ってか?」 「むぅ、やっぱり子ども扱いしてるじゃん……」 「ははは、ハルは笑ってるほうがいいよ。またな」    頬を膨らませる晴日の頭をくしゃっと撫でて、信周は出かけていった。

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