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三十一日『世界禁煙デー』

「なあ、ハルなんか臭うんだけど」 「えっ、俺?」  大学からまっすぐ帰宅した晴日に、信周が顔を顰める。晴日は慌ててTシャツの首元を引っ張って匂いを確かめた。 「タバコ臭えな」 「あ、今日となりのゼミと共同演習だったんだけど、教授がタバコ吸う人で……臭い移っちゃったかなぁ」  くんくんする晴日を見て、信周が笑う。 「シャワー浴びて来いよ。あ、俺も一緒に浴びようかな」 「うん。一緒に行こ?」 「よし、じゃあ俺が洗ってやる」 「ええ? やだぁ」  ふふっと声を出して笑いながら、晴日は先に浴室へ駆け込んだ。

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