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三十日『梅干しの日』

 リビングの隅っこに並ぶ大小二つの水槽。小さい水槽では脱皮して少しだけ大きくなった子ガニたちが元気に歩き回っている。    信周のいない昼、晴日は水槽の前で梅おにぎりをかじっていた。カニたちにもご飯粒をちぎって分ける。 「あっ……と、危なかったぁ。梅干しは……だめだよね」  うっかり梅干しを水槽に入れそうになり、慌てて指をぺろっと舐める。   「かわいいなぁ、ふふふ」    子ガニたちも小さなハサミでご飯粒を抱えもぐもぐと口を動かしている。晴日は自分が食べるのも忘れて水槽をじっと見つめた。     【参照◇六月二十二日『カニの日』】

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