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二十九日『ベルばらの日』
「ねえ、また!」
「だってしょうがないじゃん。CMは選べないんだし」
またイケメンアイドルのCMが流れてきて、晴日はむっと唇を尖らせた。
「ハルのほうがかわいいし」
「でも!」
晴日は拗ねたままだ。信周はそっと晴日の手を取り、わざとらしく演じ始めた。
「……千の誓いがいるのか、万の誓いが欲しいのか。俺の言葉はただ一つ。愛している、愛しているとも!」
晴日は戸惑い、ぽかんと口を開ける。
「……な、何? どしたの、急に……?」
訳が分からず戸惑う晴日を前に、信周は肩をすくめて見せた。もうCMは終わっていて、二人はまた並んでテレビを見始める。晴日はまだ狐につままれたような顔をしている。
【参照◇八月二十八日『テレビCMの日』】
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