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二十九日『ベルばらの日』
「ねえ、また!」
「だってしょうがないじゃん。CMは選べないんだし」
またイケメンアイドルのCMが流れてきて、晴日はむっと唇を尖らせた。
「ハルのほうがかわいいし」
「でも!」
晴日は拗ねたままだ。信周はそっと晴日の手を取り、わざとらしく演じ始めた。
「……千の誓いがいるのか、万の誓いが欲しいのか。俺の言葉はただ一つ。愛している、愛しているとも!」
晴日は戸惑い、ぽかんと口を開ける。
「……な、何? どしたの、急に……?」
信周に促されてテレビを見ると、もうCMは終わっていた。
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