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三十日『冒険家の日』

「待って、待ってよぉ」  晴日はソファーの下を覗き込み、手を突っ込んだ。突き出した尻が腕の動きに合わせて揺れる。引き寄せられるように信周が近づいてきた。 「大丈夫?」 「カニさんがぁ……あ、見つけたっ」  まもなく体を起こした晴日は体中にほこりをくっつけた子ガニを手のひらに載せて、にっこり笑った。    つかの間の冒険を終えて水槽に戻ってきた子ガニはぶくぶくと泡を吐いている。  

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