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十五日『スカウトの日』
映画『男子大学生の日常』モデル募集。
晴日のジーンズのポケットから出てきたチラシを、信周は穴のあくほど見つめていた。
「ハル、これ何?」
「それねぇ、映画サークルの人にモデルになってって頼まれたの」
「映画サークル? それってちゃんとしてるやつ? ハル、モデルすんの?」
「コンクールとかにも出してるらしいよ、友達も入ってるし。俺も出るけど、それがどしたの?」
「あ、怪しいやつじゃないよな。心配すんじゃん。ほら、最初はちゃんと撮影してるふりしてだんだん脱がされてって、最後にはハメ撮り……」
「ぷっ、そんなわけないじゃん。俺はねぇ、学食でご飯食べてるとこ撮るだけ」
晴日は「ノブくん妄想激しすぎぃ」と吹き出した。でも本当は心配してくれる信周にちょっとだけきゅんとした。
「お礼にご飯は奢りだって。俺、スペシャルランチとデザート食べるんだぁ」
「よし、いっぱい食ってこい」
「うん」
「えへへ」と笑う晴日の頭に信周がぽんと手をのせた。
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