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十四日『盛人の日』

「はぁぁ、大学行きたくないよぉ」  まだ旅行の余韻から抜け出せない晴日がテーブルに突っ伏している。こんなことだろうと思って昨日のうちに買っておいた弁当を、信周が温めてくれた。  ――ノブくん偉いなぁ。  晴日は首だけを少し動かして、ばっちり出勤モードの信周を見上げる。   「楽しかったな、また来年も行こうぜ」    不意に信周が手を伸ばして、晴日の頬をぷにっとなでた。   「ほらハル、ごはん食べて」 「うん」  ――また来年も……。    なんだかちょっと元気がわいてきた気がする。晴日はゆっくり体を起こすと「いただきます」と手を合わせた。   【参照◇十一月十三日『いいひざの日』】 

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