322 / 368

十六日『国際寛容デー』

 帰宅してリビングの電気を点けたそのとき、何かを踏んだ。ぎょっとした信周が足元を見ると、ミカンの皮。その向こうにもごっしゃりと、さっきまで晴日がいた痕跡が……。晴日はバイトだ。信周は小さくため息を吐くと、黙って片づけを始める。  一緒に暮らし始めて間もないころ、信周は随分と晴日を叱ったものだった。その都度しゅんとして反省するものの、晴日の散らかし癖はなかなか治らない。疲れているときなどは、散らかった部屋にうんざりすることもあるけれど……。    その代わり、晴日は一人暮らしだった信周の生活を賑やかにしてくれた。料理好きな晴日は二人分の料理を作ってくれて、明るく信周を癒してくれる。信周だって晴日がいなければ、こんなに充実した毎日なんて送れない。二人の生活はいつも笑顔にあふれている。  

ともだちにシェアしよう!