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二十三日『手袋の日』

 自転車通学の晴日は手が冷たくてたまらない。 「さっむぅ」  帰宅したばかりの冷えた晴日の指先を、信周の大きな手が包み込んだ。 「どう? あったかい?」 「ん」 「手袋出さなきゃな、どこしまったっけ?」 「あっ待って、ノブくん」    ふっとクローゼットに向かおうとする信周を、晴日が慌てて呼び止める。   「もうちょっとだけ」  そう言って晴日は信周に向かって両手を差し出した。

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