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由貴と裕太

ドタンバタバタと家の中を走り回る小さな足音。 でも、走ってる分には大きな音を立てている。 「起きたかな~」 んーと伸びをして最後の珈琲をすすった。 「お母さん!! おはよう!!」 「おはよう裕太」 皆様初めまして、水嶋由貴です。 2LDKの小さな一軒家に僕と息子の裕太、2人暮らしをしています。 夫は海外赴任中、いつ帰ってくるかもわからないですが裕太と暮らす毎日は想像以上にドタバタと賑やかな日々を過ごしています。 この世の中はα、β、Ωの属性が3種類あり、僕はΩで所謂女性と同じく子供を授かることができます。 ずっと仲良くしてくれた親友の涼と番って子供ができました。 とても幸せ……です。 「お母さん苦しい」 朝のおはようのぎゅーをしていたら裕太が悶えてしまいました。 「さてごはん食べて準備しよっか!」 「うん!!」 今日は入学式直前のお買い物デーになります。 裕太にはいっぱい小学校生活を楽しんでほしいから僕も仕事を頑張ります。 食卓にはご飯とみそ汁としゃけを用意。 慌ただしく食べる裕太を眺めながら隣で食べ終え、ショッピングへ。 「お母さん競争!!」 「え!? 待って」 外に出た瞬間、興奮して駆け出す裕太、相変わらずのやんちゃぶりは直らない。 どうしたものか。 信号機の手前で捕まえて約束をする。 「裕太、危ないからお母さんの手をつなぐこと、じゃないと小学生にはなれませんよ!!」 「えー……ぶーわかった」 言い聞かせればいい子なんだけど……まだ習慣できないというか忘れちゃうのかな……。 ショッピングモールにつくと駆けだしそうになるわが子を引き留め、文房具売り場に行く。 「裕太、何色にする?」 「どれ?」 筆箱と鉛筆を眺める。 「んー緑がいい」 「? この前青いの欲しいってじいじに言ってなかったっけ?」 「じいじが青いの欲しくて僕は緑がいいの」 「そうなんだ」 相変わらず子供の考えてることは難しい。 じいじは水嶋家つまり夫のお父さんのこと正月にいくらかお小遣いを頂いたのでそれを今回の教育費に使わせてもらうことにした。 「お母さんこれ買う?」 「え?」 持ってきたのはなんとカラフルなペンが入ったものだった。 「これはね、黒だけ必要って書いてあるね」 「黒とるの?」 「いや、単品で売ってないかな」 探しに行くのに立ち上がると一瞬で消える裕太。 「やられた」 肩をがくりと落として自分のミスを責める。 まぁここ遊び場が中央にあるからそこに行ったのかな? 「あれ? 水嶋さん?」 「あ、こんにちは」

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