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いいたいこと
「あのさ、弓弦」
「ん?どーした?」
とある日の放課後、俺は長年一緒にいる弓弦に告白した。玉砕覚悟で言った。だって、俺の中では弓弦はただの友だちじゃなくなっていた。どうせ、振られる。分かってるけど、どうしても高校卒業する前に言いたかった。結局、当日に言っちゃったけど。それでも、気持ちだけは伝えたかった。迷惑だってわかってる。知ってるけど、、!
「迷惑だって思われてもいい。俺、弓弦の事が好き。」
「それは、どういう意味で?」
やっぱり聞かれると思った。知ってた。『恋愛的な意味で』と言えばいいだけなのに。なんでか、そんな簡単なことが言えない。どうして?
ちょっと頑張って喉を開けると弱々しい声がでた。
「れ、恋愛的な意味で。」
「あの、ツカサ、ほんとにゴメンなんだけど、それは、」
「わかってる!!その先は言わないで!」
弓弦の言いたいことを遮った。もう二度と話しかけて貰えないかもしれないのに。そんなことで崩れるような絆は紡いできてない。だけど、『男同士』『恋愛対象外』『ゲイ』そんなことを思われる覚悟は出来てる。それでも、怖い。今までなにか相談するのも、ふざけ合うものぜんぶ弓弦だった。
全部を言ってしまった。その虚無感で俯いた。本当は顔あげなきゃなのに。弓弦の言いたいこと聞かないといけないのに。顔を背けてしまう。
「ツカサ」
名前を呼ばれて顔を上げた。その愛しい声で名前を呼ばれた。それだけで満足だ。
「俺も、好きだよ。だけど、」
「ごめん、やっぱり最後まで聞けない。」
それを最後に俺は弓弦がいる場所から走って逃げた。1番最悪な逃げ方だと思う。逃げないように、頑張ったけど俺には無理だったみたい。ごめんね、弓弦。こんな最低なヤツが近くにいてごめん。
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