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ほんとうのこと

「俺は優しくない。ただ、今までのツカサとの関係が壊れるのが嫌なだけ。ほんとはすっごい自分勝手なやつだよ。」 「それでもいい。それでも弓弦が気にかけくれるだけでいい。それだけで俺は嬉しいから…」  さっきから言ってることがグッチャグチャだ。もう、どうにでもなれ。例え、弓弦に嫌われて、愛想尽かされてこれから話ができなくなっても俺が弓弦を好きだって事実は変わらないから。 「ばか。なんで、伝わってないんだよ。俺もツカサ、お前が好きだよ」  その言葉を聞いてハッとした。あぁ、俺、気づけなかったんだな。鈍感すぎて。気づこうともしてなかった。どうせ、ダメ元で言ってみても弓弦は笑って許してくれる。また、いつもみたいに笑ってくれる。そうか、今までの俺の考え方って自分勝手そのものだったんだ。馬鹿みたい。ずっと一緒にいたなら、弓弦の気持ちぐらい考えてやれよ。  過去の自分に自嘲が止まらなかった。ずっと一緒にいた、腐れ縁。長く一緒にいるからって何でもわかるっていうのは傲慢そのものだ。 「すきだよ、おれだって、ずっと好きだった…!でも、それを言うと…弓弦の迷惑になるかなっておもって…、弓弦って邪魔されるの大嫌いだから、勉強とかの邪魔になるのが怖くて、言えなかった……!」  さっき散々泣いたのに。もう涙なんか出ないって思うぐらい泣いたのに、また泣いてる。一生分の涙が今ここで流れてる気分だ。それだけ、俺の中で弓弦っていう存在が大きかったんだな。再度思い返すことになった。 「ごめんな、ツカサ。ツカサの気持ちに答えられなくてでも、今はっきり言うよ。  愛してる」  弓弦は留まるところを知らない俺の涙を指で拭いながら言った。その時頭が真っ白になった。言われたことはきっと弓弦の本心。嘘じゃないって感じた。おれ、ちゃんと結ばれたんだ。この殿上人と。 「俺じゃ頼りないかもしれないけど、よろしくな、ツカサ」 「うん…!おれも、弓弦がいい……他の人なんて、やだ!」 くしゃっと笑うその笑顔が長年の俺の救いで、守りたいって思える笑顔なんだ。これからは、その顔が、全部俺だけに向けてくれる。それを臨んでる俺ってちょっと傲慢かなって思うけど少しぐらい許してくれるよね?                              END

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