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脅迫
「あの、ついたみたいだからさ。僕はこれで」
扉が開きそのままエレベーターから降りようとしたら、いきなり肩を強い力で押しつけてきた。
壁に背中が当たってしまう。
しかも力、強すぎる!
これでは閉まってしまうじゃないか!
地下三階か二階、一階へ行ってしまったら、彼以外の囚人に見つかって終わりだ。
この男は、他人の気持ちを考えられないのかもしれない。
「ねえ、さっきヘリの中で俺のことずっと見てたでしょ?」
そんな言葉と共に、先ほど取り出したナイフの刃を首に当ててくる。
少し血が垂れてしまった。
重要な場所を狙っていないのは、唯一の救い。
「み、見てたけど……」
ここで嘘をつけば、信用が薄れてしまうかもしれない。
震える声で、事実を言うことにした。
表情が見えないので、余計恐怖を感じてしまう。
「何で?もしかして俺のこと好きなの?それとも俺のこと、殺したいとか?」
「ち、違う!瞳が綺麗だなって思って」
これはあながち嘘ではない。
あの茶色くて綺麗な色をした瞳は、嫌でも吸い込まれてしまいそうで怖い。
照れ隠ししながらポツリと呟くと、彼は僕から離れて『開ける』のボタンを押した。
振り返った時の表情は、目元から笑っている普通の笑顔だ。
「降りたいんでしょ。良かったね、動かなくて」
何事もなかったように扉は開き、エレベーターから降りた。
後ろを振り返れば彼がついてきている。
このまま、さよならでも良かったのに。
「何でついてきてるの?」
首を傾げて尋ねると、アルマは表情を変えずに答える。
「俺の瞳が好きなんでしょ?だからいっぱい見せたくて」
目の下の方を指で伸ばしながら、茶色い瞳を見せてくる。
やっぱり殺人犯の考えていることはよくわからない。
戸惑ってしまう。
「ねぇ、看守さん。少しいい?」
「どうした……!」
いきなり唇が塞がれた。
僕の方が圧倒的に身長が低いので、腰を少し低くして貪るようなキスをしてくる。
柔らかい唇が重なり合って、なんだか頭がふわふわしてきた。
ダメだ。
相手は連続殺人犯で、人間をたくさん殺している化け物だ。
理性を保たないと、自分が自分でなくなる気がして唇から離れようとした。
が全く離してくれず、彼の手が僕の看守服に触れてシャツを着ていない素肌に当たる。
「ちょ、ダメだって。これ以上は」
彼は僕の願望を無視して、開いた口に舌を入れてきた。
舌の粘液が絡まり、彼の唾液が流し込まれる。
ドキドキと胸の鼓動が早まり、顔がトマトのように赤くなってしまう。
しかし彼はそんなことも気にせず、僕の胸をいじってきた。
没入乳首の先を指でぐりぐりと弄り、引っ掻いたり押されたりした。
最初は全然気持ちよくなかったのに、徐々に手が速くなっていき何もわからなくなってしまう。
「はぁ…はぁ……」
舌が外れて赤い顔で息を吐く。
アルマは看守服を脱がせようとしたが、なぜかやめてしまった。
僕が怪我しているのに気づいたからだろう。
「本当はたくさん乳首を開発したかったけどさ。看守さんはエロいな。女の素質あるかもね」
そんなことを真顔で言われたが、切羽詰まった声で否定した。
僕は男より女が好きなノンケだし、そんなわけがない。
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