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幸月と秀人 3
秀人と幸月の初対面の日は透き通るような秋晴れだった。
幸月は俺が部屋に行く前から目覚めて窓を見上げていて、俺が入るとびっと空を指差した。そんな仕草を愛しく思う。
朝食を食べながら、俺は幸月に今日のことを伝えた。
「今日はこれからお外に行くよ。行って、そこで介先生と、介先生のお友達と会うからな」
「たすく、せんせ……?」
幸月はフォークにブロッコリーをさしたまま首を傾げた。そうしていると、ポトリとブロッコリーがお皿の上に落ちる。幸月は慌ててもう一度さし、もぐもぐと食べた。食べるのも上手になったなぁと感心しながら、俺は頷く。
「そう。幸月が熱出した時に来てくれた先生。会えば思い出すよ」
まぁ、幸月にとってあまり良い記憶ではないと思うが。
幸月はよくわかっていなさそうだった。しかし嫌がってもいないので、予定通り連れて行こう。
朝食を食べ終えて準備をする。
幸月は既に扉の前にスタンバイしていて、俺が開けるのを今か今かと待っていた。
開けてやると、俺を待たずに駆け出す。向かうは外へ繋がるドアの前。自分の靴もすぐに覚えた彼はそれを靴箱から取り出すと、いそいそと履き出した。
「せんせ」
「はいはい。ちょっと待ってな」
事務室に外に行くことを伝える間も、幸月は待ちきれないようだった。催促はするが、癇癪を起こしはしない。そういうところに、幸月の大人らしさが感じられるようになってきたと思う。
外に出ると、いつもの場所へタタタと走っていく。走っていく幸月の背中を見るといつもほっと安心した。この子は大丈夫なんだと強く思える。
季節は秋を迎えたが、草花が移り変わるにはまだ少し早い。しかし気温だけは確かに変わってきていて、昼間はそうでもないものの午前中は肌寒い日も増えてきた。
幸月はそんなもの気にも留めず毎回パジャマのまま飛び出そうとしていたのを、どうにか着替えることを覚えさせたのは最近のことだ。覚えてしまえば、幸月にとってそれを実行するのは難しくないようだった。
「せんせい、となり」
「うん」
幸月に横に座るよう求められ、その通りにする。本当によく喋る子になった。
「幸月、さっきの話覚えてるよな」
そう聞いてもこちらを見ずに草をいじる。聞こえていないのかと思ったが思い出していただけのようで、ポツリと答えた。
「た、すくせんせい」
「そう。これからお友達と一緒に来るけど、怖かったら、
俺の後ろに隠れればいいからな」
幸月はきょとんとした顔で俺を見上げる。
「後ろ、わかる?」
「ここ」
幸月は俺の背中を指した。わかっていたみたいだ。
わかっているのかいないのかわからず、確認してみるとちゃんと理解していることが増えてきたなぁと思う。
あとは介達を待つだけだ
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