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元々はそれほど性欲の強い方ではなかったと思う。
一人でいて収まりがつかず自慰に耽ったなんて数えるほどしか無いし、亮治と抜き合いをする関係になってからはそれだけで十分だったくらいだ。
当然これまで一晩で2度も射精した記憶は無い。
体力が無いのか精力が足りないのか、すでに俺の体は力が抜けてぐったりだった。
それも、性器への馴染みのある快感だけでなく、初めて触れられる場所への初めての刺激はあまりにも強烈で、射精したもののまだあれが本当に快感だったのかどうかもまだよくわからない。
力が入らないのを良い事に、亮治は案外易々と3本目の指を中に突き入れてきた。
痛くは無い。
圧迫感はさっきまでよりもはるかに強いものの、それも耐えられないほどではない。
案外俺はこの『受け入れる』側の才能があるのかもしれない......
その強い圧迫を感じながらも瞼が下りそうになる自分の図太さに思わずクスッと笑ってしまう。
「たかちゃん、もう疲れた? やめる?」
中をグリグリと遠慮無く捏ね回しながら、それでも思いの外真剣な顔で亮治が聞いてくる。
俺はブルッと頭を振り一度瞼を擦ると、ポンポンと亮治の頭を叩いた。
「お前、やっとる事と言うとる事が矛盾しとるじゃろ。やる気マンマンじゃが」
「うーん...たかちゃんがもうしんどいけ寝たいって言うんじゃったら、我慢するよ?」
クソ真面目な顔でそんな事を言いながら、先ほど見つけたばかりの場所をキュウと押してくる。
力が入らないままの腰はそれでもピクピクと震え、立ち上がる元気の無いままの俺の中心からは蛇口の壊れた水道のようにポトポトポトといくらでも雫が溢れた。
「んもう...やめぇや...なんぼやってももう何も出んけ」
腕を伸ばし、大きく広げる。
亮治は中に指を残したままでコトンと俺の胸に額を乗せた。
「ほんまに我慢するんか?」
「たかちゃんが...どうしても眠いんなら...我慢するもん」
「そのわりに、一生懸命気持ちようしようとしてない?」
「......眠気覚めるかなぁと思うて」
「我慢する気、無いが」
声を上げて笑いそうになり、後ろに響いてまたピクピクと腰が揺れる。
こんな体にしておいて、言葉だけ殊勝な事を並べる亮治にほんの少しムカついた。
「ちゃんと責任取れや」
「責任?」
「無理矢理俺の目を覚まそうとした責任!」
胸の上の亮治の頭をギュッと強くかき抱く。
きっと亮治には聞こえてるだろう...いつもよりはるかに早い鼓動が。
きっと亮治には伝わってるだろう...いつもよりはるかに熱い肌が。
「寝かさんようにした責任だけ?」
胸元にチュッチュッとキスをしながら、すべてを見透かした瞳が俺を窺う。
俺はフンと鼻を鳴らし、ニッと笑った。
「わかっとるんじゃろ?」
「わかっとっても、そういうのん聞きたいもんなんじゃないん?」
「可愛げ無いねぇ」
「可愛いげは無いけど、男前じゃろ?」
真似するようにフンと鼻を鳴らした亮治が本当に男前で、もう顔を見られたくなくてまたその頭をギュウと胸に押し付ける。
「体は疲れとるけど...足りんのんよ」
「そうなん?」
「全然足りんじゃろ。2回も出したのに足りんとか、どうすんな?」
「どうしようか?」
「責任取れや」
「眠いのに起こした責任?」
「......こんな体にした責任。足りんのんじゃけ、責任もって満足させてくれぇや」
「たかちゃんも責任取ってくれる?」
「何の?」
「そがいに可愛い事言われたせいで、ますます収まりがつかんようになった責任」
「お前が言わせたくせに...」
「ほんまは言いたかったくせに...」
言葉遊びの間にもどんどん熱は上がってくる。
動きの止まっていた指も、再び中をグジグジと弄りだした。
俺の太股は、もう随分と長い間お預けをくらっていたせいでガチガチになっている亮治の物が垂らした雫で少し冷たくなってくる。
「俺がこんなんなった責任取って...ちゃんと最後までせぇ...嘘...責任なんかどうでもええけ...早よ入れて」
わかってるのに言わせたいなら言ってやろう。
胸元から顔を上げさせると、少しだけ頭を起こしてキスを仕掛けた。
それを深い物にする前に亮治は体を起こすとベッドサイドに手を伸ばす。
ちゃんとバラバラに分けておいた小さなパッケージを手に取ると、それだけは無駄に慣れた仕草でその端にグッと犬歯を食い込ませた。
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