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第2話 三好家

俺がみんなして理玖を甘やかすことにぶつくさ文句を言ってると、篤哉は俺を面白そうに見つめると片眉を上げて言った。 「はいはい。気をつけます、涼介お兄様。でもそうは言っても、理玖の可愛さって尋常じゃないじゃん?誘拐になるレベルだって。」 俺はため息をついて、一緒に遊んでた時の理玖の姿を思い起こした。 確かに理玖は三好家の中で異質なんだ。俺と兄貴の彗は父親に似た押しの強い顔だ。顔のパーツがそれぞれ大きいから圧が強いってよく言われる。外人顔とでも言うのか。多分父さんに似たら体格も良くなるんだろう。 兄貴の彗は既にその片鱗があって、中一なのに170cmを越えてて、同級生より頭ひとつ大きい。多分アルファなんだろうってのは親戚や知人の噂話だけど。俺もあんなイカついオメガとかちょっと想像外だから、まぁ後継だしαなら良いのになと思ってる。 しかも兄貴はそろそろバース判定の時期だから、なんとなく家の中も落ち着かない。 一方この家のアイドル的存在の理玖は誰に似たのか異端だ。 母親はΩだけど、可愛いって言うよりどっちかというと綺麗系だ。だから理玖は父さん似の大きな好奇心溢れる眼差しと、小作りな母親のパーツをもらって誰が見ても元気で可愛いって言いたくなる見かけをしてる。 母親似の柔らかな茶色い髪は人混みでもよく目立って、俺たちはチョロチョロして迷子になりがちな理玖を見つけるのに重宝している。 理玖はまだ6歳だからバース自体は予想もつかないけれど、俺は何となくΩなんじゃないかなって思ってる。言わないけど。だって、俺が年長の時はもうちょっと逞しかったし、あんなに直ぐ泣かなかったよ。兄貴の慧としょっちゅう喧嘩してたし。 最近の彗はちょっとすかしていて、俺とあんまり喧嘩しなくなった。急に大人っぽく振る舞うから、俺としては置いていかれてるようでちょっと不満だ。でも、俺は早く大人になりたいわけじゃないから良いんだけど。 しょっちゅうウチに入り浸っている、俺と同じ小学部4年の同級生の篤哉は東グループの長男だ。ウチの三好建設と関わりがあるから、親同士も結構仲が良くて、パーティーでよく顔を合わす。 篤哉の父親は三好家とは真逆の涼やかな外見で、いつも何考えてるかよく分からない冷たい感じだ。そんな所は、学校での篤哉にちょっと似てるかも。反対に篤哉の母親はにぎやかな人だ。 確かα同士の夫婦だった気がする。俺の両親はちょっと子供の俺たちでも近寄れないほど暑苦しい時があって、それは番とかいうやつのせいらしい。αとΩは面倒くさそうだなって思う。 俺たちはファミリールームから聞こえる大人ぶった理玖の賑やかな声に、二人でニンマリしながら入って行った。

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