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第25話 バース判定
クラスメイトがあんまりにも騒ついているから、僕は後ろを向いて注意した。
「しー!今、他の学年は授業中だから静かに歩いて!」
さっきまで煩かったクラスメイト達は急に黙って僕の顔を見てきた。ん?なんだ、この反応。僕は肩をすくめて前を向いて歩き出した。ヒソヒソとまた騒めきだしたけれど、さっきよりマシだったので僕は放っておいた。
吉良君と榊先輩は僕をチラチラ見ながら何か聞きたそうにしてたけど、僕はこれ以上聞かれても答えられないので、気づかないふりで黙って歩き続けた。
学園専属ドクターから順番に渡される判定結果の封筒を受け取った僕たちは、皆一様にワクワクというか、落ち着かなげに封筒を鞄に仕舞ったり、その場で封切って眺めたり、色々だった。
僕は一人でゆっくり見たかったので鞄に仕舞うと、友達に挨拶して尊と下駄箱へ急いだ。多分悠太郎が待ってると思ったからだ。
案の定悠太郎が笑顔で手を振っていた。尊は悠太郎に会うなり、僕を指差して言った。
「聞いてくれよ!さっき理玖がみんなの前で爆弾発言したんだぜ⁉︎それなのに全然それに気づかないんだから。ほんとこいつ鈍くて嫌になるよ…。」
僕はやっぱり何か余計なことを言ったみたいだ。
「…何か言ったっけ?特に記憶ないけど。」
尊は周囲に生徒たちがいるのをチラッと見ると、さっさと靴を履き替えて先に立って歩き出した。僕と悠太郎は慌てて追いかけた。三人で正門までの長い道のりを歩きながら、尊は悠太郎に言った。
「理玖がバースの結果はどうでも良いって言ったんだ。”約束“した相手がバースは関係ないって言ったからって。」
悠太郎はため息をついて、僕の髪をかき混ぜて言った。
「理玖、まだ公にしちゃダメだって家族に言われたんじゃないのか?」
僕はあっと口を押さえて尊を見た。
「僕、そんな事言ったっけ?」
尊は大きく頷いて僕の言葉でクラスメイト達がひどく騒ぎ立てたんだと教えてくれた。確かに騒がしかったけれど、まさか僕のせいだったなんて。
そんな話をしていると、橋本さんが車を回して来てくれたのが見えたので、僕は二人にさよならをして車に乗り込んだ。車が走り出すと、僕は鞄から封筒を出して封を切った。
僕はドキドキしながら、そっと中の書類を引っ張り出した。
僕の目の前にΩの文字が現れて、僕は失望したのか、予想通りで安心したのか、未知の未来に不安を感じたのかよく分からない感情に襲われて、膝の上に書類を置くと、車中から街を見るともなしに眺めていたんだ。
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