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第40話 生徒会のお仕事

 僕が壇上に登って、緊張で心臓をドキドキさせてたあの春を懐かしく思い出すくらいには、すっかり広報という仕事に慣れてしまった。英明学園中学部の対外任務というか、アピール仕事というか。  あとは中学部内のコミュニティの円滑化を図るべく色々画策するんだ。もちろん生徒会で決めるんだけど、窓口は僕だから案外忙しい。SNSを使った『聞いてみたい!こんなことコーナー』が結構人気で、アイデアを出した僕としては鼻が高いよ。  最近では、こんな質問があった。  [ 勉強が難しくて、やる気が出ません。どうしたら良いですか?]  僕は自分だったらどうすればやる気になるかなって思って、こう返事したんだ。  [ とても分かります。僕たち馬には人参が必要でしょ?今度の中間テストで成績を15番上げられた生徒さんは、生徒会メンバーが主催するデザートフェアにご招待しましょう♪ ]  結果、何と50人ほどの生徒が成績を上げて、僕たちとデザートを美味しく頂いたんだ。僕も今まで話したことのない同級生や、後輩たちとも色々話せて本当楽しかったなぁ。  尊からは予算外だぞって怒られちゃったけど、結局学園の方から全体の成績が上がったって喜ばれて、生徒会の予算が増えたから結果オーライだった。  吉良が腕組んで頷きながら言ったんだ。 「三好ってそうゆう所あるよな。わらしべ長者的な。私欲が無いから運がいいっていうか。」  いや、僕はデザートめっちゃ食べたかったけどね、公費で。ふふ。しかし、生徒会って想像以上に仕事が多くて、自分の時間が削られるんだよね。あっくんや涼兄も確かやってたはずだけど、成績を落としたりはしてなかったよ。  僕、次のテストやばいかも…。悠太郎たちは地頭が良すぎて共感してもらえないから、最近僕は書記の佐々木くんに懐いてるんだ。βの佐々木くんは凄くおっとりしてる風なのに、デキる奴なんだよね。  優しい顔をしているのに、目元の黒子が凄いセクシーだなっていつも思ってじっと見ちゃう。皆は知らないみたいだけど、佐々木くんて多分凄い恋多き人だと思う。話の端々にそんな感じのことを匂わせるというか。モテるんだと思う。  最近自分があっくんと色々進展させてるから、余計その手のことに敏感になってて、色々恋のノウハウ教えて欲しいんだよね。僕がそんな気持ちで佐々木くんを見つめてると、彼はふふふと笑って、困ったことがあったら何でも相談してねって言ってくれたんだ。  やっぱり佐々木くんてできる奴だ。

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