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第57話 婚約
瓢箪から駒って、こんな感じの事を言うのかな?僕は自室のベッドで転がりながら、急展開したこの婚約話を思い返していた。きっかけは僕の変な誹謗中傷?だったけど、そのおかげであっくんと婚約しちゃった!
僕はベッドでうつ伏せながら足をバタつかせた。このままいったら僕とあっくん、結婚するの⁉︎本当に?あー、もう信じられないよ。三好家は彗兄も涼兄も、約束もしてないし、婚約もしてない。末っ子の僕が先に婚約して良かったのかな?
婚約は僕がまだヒート前の中学生だからって、東家と三好家で内々に結納したんだ。あの時凄く緊張したけど、東のおじ様もおば様も凄く優しくしてくれてホッとした。
あっくんは明るい艶のあるネイビーの三揃いのスーツ姿で、あんまりにもカッコいいから、僕なかなか目を合わせることが出来なかった。もちろん僕も急遽仕立てたスーツを着た。
明るいブルー色の大きなチェック柄のスーツは、母さんとデザイナーさんからは太鼓判を押された。僕としてはちょっと派手かなと思ったんだけど、僕の明るい茶色の髪とよく合う気がした。
僕を見た瞬間、あっくんは凄く嬉しそうに僕を抱きしめて、凄く似合うって褒めてくれた。彗兄に直ぐに引き剥がされちゃったけど。孫にも衣装だったかな?
それから結納の儀式をして、食事会をした。あっくんのお姉さまの長女さんは、今仕事で海外にいて参加出来なかった。後日リモートでお話ししたけど、何だか凄いカッコいい女性だった。あっくんの女性版?っていうか。
もう一人のお姉さまはいらしてたんだけど、多分αの旦那様と来ていた。お二人と彗兄とは知り合いらしかった。αの世界は狭くて、大学4年の彗兄ぐらいの歳になると大体誰が誰とか知ってるらしい。
まぁ、彗兄は三好家の跡取りだから余計顔が広いんだけどね。まさかデートしまくってるから顔が広いとかじゃないよね…。なんかチラッとそんな事言われてた気がするけど、…まさかね。
なんやかんやで無事結納が終わって、晴れて僕とあっくんは婚約したんだ。でも僕はまだこの婚約の本当の所を全然分かってなかったんだよね。
僕にとってはあっくんは小さい頃から側にいた兄の友人であり、幼馴染に近い人だから、大好きっていうそれ以上でも以下でもない認識だったんだ。でもあっくんて東グループの御曹司だったんだって、それからの大騒ぎで僕は改めて自覚した。
本当にびっくりしたんだ。涼兄は僕が世間知らずだなって笑ってたけど、誰か教えてくれたって良かったと思うよ?ほんと。
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