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第76話 ヒートの後始末
結局あれからあっくんに散々鳴かされてしまった。僕はぐったりとしてはいるものの、番からの愛を十分に堪能したせいなのか、何だかとっても元気なんだ。うわ、僕って現金なやつ?
あっくんは僕がしゃっきり歩ける様になったら、三好家に番の報告に行かなくちゃって、何だか緊張した顔で言ってた。それを言ったら、僕はあっくんちで寝室に何日も篭って非常に面目ないというか…。
あっくんのご両親にどんな顔で会えばいいのかわかんないよ。あっくんの家はアルファだらけだから、番関係の家族は居ないんだよね、確か。僕は急に不安になって来て、あっくんの姿を見つめた。
あっくんは一緒にお風呂に入った後、僕にバスローブを着せて髪を乾かしてくれた。そのまま、ソファにクッションを積み上げて僕をコロンと寝かせて、自分は着替えている。
あっくんがちょっとづつ、ブランドモデルの様に仕上がっていくのを見つめながら、僕は何て聞こうか考えていた。あっくんは白いVネックのサラリとしたカットソーをサッと着込むと、僕の転がっているソファまでやって来た。
「何?理玖。何か聞きたそう。」
僕は迷ってたけど、こればっかりは避けて通れない道だから、思い切って聞いてみた。
「あのね、あっくんのご家族は皆アルファでしょ?だから僕みたいにヒートが来る番関係についてどう考えてるのか、ちょっと気になるっていうか。アルファ同士の親じゃないウチみたいな番の両親とは全然違うんでしょ?よく分かんないから、どう思われるか心配だなって…。」
あっくんはニコニコと僕の側に座って僕の髪を撫でると話し出した。
「俺があんまりうちの家族のこと理玖に話さなかったから、不安にさせちゃったのかな?理玖はまだ中学生だから、あんまり家の事とか気を使わせたくなくて、敢えて話さなかったのもあるんだけど。もう、俺たちは番だからこれから会う機会も増えるから心配だよな?
確かにうちはアルファばっかりだけど、父親の妹の叔母はΩだし、母親の弟もΩなんだ。だから、二人とも番がどうゆうものかも、ヒートが大変な事も身近で見てるからよく分かってるんだよ。
あの二人がアルファ同士で結婚したのは、まぁ性格?なのかな。父親は東グループの跡取りとしてプレッシャー掛けられて育ったから、まぁ時代もあって、Ωと結婚したら相手に負担が大きいって思ったんだと思う。
母親は男以上にバリバリ仕事したいタイプだから、一緒に仕事して欲しい父親のパートナーは居心地が良いんだと思うよ。うちの親は昔から理玖の事可愛いってチラチラ気になってたから、番になった今はきっと、凄く理玖の事可愛がりそうな気がするけど。」
そう言ってあっくんは笑ったんだ。
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