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第77話 番の報告
「番になりました。…私たち二人で考えて、決めた事です。事前にご相談しなかったのは申し訳ないと思っていますが、一生、理玖くんを大事にします。よろしくお願いします。」
僕の隣で緊張気味にあっくんが僕の家族に頭を下げている。僕は思わずあっくんの手を握り締めて一緒に頭を下げていた。まだ中学生で、ヒートが来たからって番になるのはやっぱり早いってのは僕にも良く分かってるんだ。でも僕たちは番になる事を決めた。お互いのものになる事を決めたんだ。
「…もうなってしまったものに、駄目だというわけにもいかないだろうな。理玖が小さい頃からの篤哉くんとの二人を見ていなければ、しばらく会わせないような制裁を与えた可能性もあったけれど。理玖のあっくんへの執着を見ていたから、もう親といえども反対はできないんだろう…。
篤哉くん、理玖を末永くよろしく頼みます。」
「「ありがとうございます!」」
父さんの言葉に、僕たちは一緒に頭を下げた。顔を上げると困ったような同じ表情で三好家の面々がこちらを見つめていた。ただ一人彗兄を除いて…。
「…中学生の理玖を番に噛むとかあり得ないんだけど。はぁ?よろしくだぁ?そんな甘い事で良いのかなぁ。10か条はどうなったのかなぁ。ヒートの時以外接触禁止にすべきじゃないかなぁ?」
一人モクモクと黒いオーラを撒き散らしている…。ぶつぶつ言ってる内容が怖い。僕は涼兄に救いの視線を送ったけど、涼兄は肩をすくめて身体の前で大きくバッテンしてるだけで。
あっくんの言ってた、彗兄の僕溺愛説が真実味を帯びて目の前に…。僕は彗兄の側に行って抱きついて言った。
「彗兄、ごめんなさい。彗兄は僕のこといつも大事に考えてくれてたのに、僕が噛んでって頼んじゃったの。万が一、あっくん以外の人に噛まれたら、僕生きていけない気がして…。彗兄、許してくれる?」
彗兄の手が僕の頭をクシャクシャとかき混ぜて、大きくため息をついて言った。
「理玖にそう言われたら、許すも何もないよ。元々いつかは篤哉と番うのは決まっていたんだ。分かってたんだけど、ちょっと中学生で番ったのがショックだったっていうか。可愛い理玖が篤哉に好きなようにされると思うと!まだ身体も未熟なのに!」
何だか発言が不穏な響きを帯びてきたのを感じた僕は、涙目で彗兄を睨むしかなかった。
「彗兄!言い方!」
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