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第84話 僕の負け※

 あっくんがゆるゆると僕の中に入ってくると、僕はゾクゾクしてじっとしてられなくなる。ドキドキするけど、ホッとするような矛盾した感情に振り回されて、早く何も考えられないようにして欲しくなる。  すっかり僕の弱い所を知ってるあっくんは、わざとゆっくりと焦らしながら僕のそこを擦ってくるから、僕は甘ったるい声しか出ない…。僕は男だからそんな声を出しちゃうのは気になるのに、あっくんは気に入ってるみたいで…。 「は、はぁっ、あっくんもっと、お願い…。」 「理玖は負けただろ?おねだり禁止だから…。んっ。」  あっくんは意地の悪い顔をして、僕の腿を広げながらゆるゆると突いてくる。僕が先に根を上げてあっくんを欲しがったから、僕はあっくんの好きなようにされてるんだ。  でもこれじゃ、快楽地獄じゃないか…。決定打のない焦れつく快感に身体は翻弄されて、僕は自分からあっくんを呑み込もうと動いてしまう。  あっくんは、急に僕を押さえつけるとギュっと抱きしめた。 「あんっ、…あっくん?」  あっくんは僕の耳元で呼吸を整えて言った。 「やばい、逝きそうだった…。10日もお預け食らってたから、俺持たない。もう、余裕ない。…理玖の中ぐちゃぐちゃににしてめちゃくちゃにしたい…。」  僕は、あっくんの言葉にゾクゾクして、同時にあっくんが可愛く思えて、ぎゅっと抱きついてささやいた。 「…して。めちゃくちゃにして…。僕もあっくんが足りないから。あっくん好き。大好き。」  あっくんはクソっと悪態をつくと、僕の腰を掴んで抉るように動き出した。僕は急な突き上げに一気に快感が高まって、ただ馬鹿みたいに喘いだ。  あっくんのいい匂いが僕を包んで、僕は多幸感と快感で揉みくちゃにされながら目の前が真っ白になって逝ってしまった。ガクガクと僕自身が揺れてるのか、あっくんに揺さぶられているのかどちらか分からなかった。 「あ、んなっ!ダメっ、深いっ。」  逝ったばかりの敏感な僕の奥へ更にあっくんが突き立ててくるから、僕は苦しいような、チカチカする強烈な快感にビクビクと身体を躍らせた。 「理玖、もっと逝け。我慢しないで。」  耳元で甘くつぶやくあっくんの声がいつもより強くて、僕はあっくんの汗で濡れた背中に爪を立てながら必死であっくんについていった。 「あ、んんっ、あああっあーっ!」  僕が堪えきれずに飛沫を吐き出すと、あっくんは大きく呻いて、僕の中に腰を押しつけながら長々と愛を注入したんだ。ああ、あっくん、僕はあっくんの愛に染められて、馬鹿みたいに震えてしまうんだ。僕もあっくんとずっと一緒にいたい。  でも、離れてるからこんなに激しい情熱も味わえるのかもしれないよ?僕は薄れる意識の中でそう思ったのか、言ったのか、どちらか分からなかったけれど、口元は微笑んでいたでしょ?

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