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第7話 一緒にいると触りたくなる(6)★

(恋人同士で、家に泊まるっていったら……そ、そーゆーこと期待していいのか!? でも、初デートの日だし、ちょっと飛躍しすぎ? いやいやいや……)  悶々と考えつつ、替えの下着や歯ブラシなど必要なものをバッグに詰め込んでいく。  準備が終わると、緊張した面持ちのまま明の家へと向かった。インターホンを鳴らせば、ほどなくしてドアが開く。 「あんま片付いてねえかもだけど、入れよ」 「お、おっす。お邪魔しまーす……」  家の中に通されて辺りを見やる。リビングもダイニングも静まり返っていて、人の気配を感じられなかった。 「おばさんは? 仕事?」 「今日は親どっちも遅いし、姉貴もいねえよ」 「そ、そっか」  つまり二人きりということだ。途端に心臓がうるさくなって、千佳は思わず動揺した。 「なんか飲む?」 「いや、お構いなくっ」  こちらの胸中を知ってか知らでか、明は至極いつもどおりである。  二人は黙って階段へと向かった。明の部屋は二階だ。久しぶりに入った彼の部屋は相変わらず殺風景で、以前来たときとあまり変わりないように思えた。 「泊まりだなんて久々だよな。中学ンとき以来か? 俺ら、自然としなくなったよな」  何か適当な話をしたくて話題をふる。けれど、明は微妙な顔をしていた。 「『自然と』じゃねえし」 「えっ、なに?」 「だってお前、寝てるときは平気で腹とか出すし、風呂上がりもシャツ着ないでいるし――俺はそこまで忍耐強くねえよ」  言うと、明の顔つきが変わった。  あっと思ったときには、手を引かれて正面から抱きしめられていた。明の匂いが鼻腔をくすぐり、耳元に熱い吐息がかかる。千佳はますます鼓動が激しくなるのを感じた。 「あ、明……っ」 「仕方ねえだろ。一緒にいると、触りたくなるんだから」  明の指先が顎に触れてきて、そっと上を向くよう促される。ゆっくりと顔を寄せてくる明に、千佳も目を閉じて応えた。 「――……」  唇を重ねられ、角度を変えながら啄まれる。柔らかく上唇を吸われれば、ぞくりと背筋が震えた。  そのうちに千佳も緊張が解けてきて、固く閉ざされていた唇が薄く開いていく。それを見計らっていたように、明は舌を差し込んでくるのだった。 「っ、ん……ふ」  明の動きに合わせて、ぎこちなくではあるが千佳も舌を動かしていく。  粘膜同士が擦れあう感覚が気持ちいい。ゾクゾクと甘い痺れが走って、頭の芯がぼうっとしてくるようだ。  堪らず明の背中にしがみついたら、すかさず腰を抱き寄せられて、さらに体が密着した。明の速い鼓動が伝わってくる。そして、男の生理現象というものはわかりやすい。 (……キスだけで勃ってる)  すでに互いのものが昂っていた。布越しに感じる熱に、体の奥がずくんと疼く。  もっと触れたい――そう思ったのはどちらが先か。気がつけば、千佳はベッドに押し倒されていた。

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