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第9話 やっと隣に並べた(8)★

「ゴムすっから待ってろな」  と、千佳の頭をひと撫でしてからバッグに手を伸ばす。コンドームのパッケージを取り出すと、明はズボンの前を寛げていった。  下着の中から出てきたものは、すでに硬く張り詰めていてなんとも苦しそうだ。明がコンドームを装着するさまを見届けながら、千佳は苦笑を浮かべた。 「うあ……入っかな」 「できる限り優しくする」 「よ、よろしくおなしゃす」  千佳が改めて両脚を開くと、明はそれを抱え込むようにして大きく開脚させてきた。  腰を寄せられるとともに屹立が宛がわれれば、千佳の頭は期待と不安でいっぱいになる。 「じゃあ、挿れるぞ」  コンドームのローションを入口に擦りつけられ、いよいよそのときが来たらしい。明は慎重に腰を押し進めてくる。 「あ、くッ……」  ずぶずぶと異物が埋め込まれて、凄まじい圧迫感に思わず苦しげな声が出てしまう。  明のものは、アナルプラグとは比べものにならない質量だった。柔らかくほぐれているとはいえ、本来受け入れる器官ではないところに挿入されているのだから、違和感はどうしても拭えない。 (……明ので、すげー広がってる)  まるで体内を抉じ開けられるようで苦しい――そのはずなのに、興奮を覚えてしまうのは何故だろうか。明が腰を進めてくるたび、セックスをしているのだという実感がわいて胸が熱くなるのだ。 「大丈夫か?」  先端を収めたところで、明が心配そうな眼差しを投げかけてくる。 「ん……圧迫感ヤバいけど、思ったよか痛くねえ」 「そっか。とりあえずここまでな」  明は一旦動きを止め、首筋や鎖骨の上にキスを落としていく。こちらを労わっているのが伝わってきて、千佳は明の頬に手を伸ばした。 「明ってば、優しすぎ。動いていーよ?」 「なら、浅いとこゆっくり動くから。痛かったら言えよ」  言葉を交わし、緩やかな抽送が始まる。浅く抜き挿しされるだけで、千佳は全身が痺れるような感覚に陥った。 「あ、んっ、ああ……っ」  大きくて硬い明のものを意識すれば、ドクドクという脈打ちまでもがダイレクトに響いてくる。シリコン素材などでは絶対に味わえない心地よさで、千佳は小さく喘ぎながら体を震わせた。 (セックスって、こんなに気持ちいいのかよ――)  これで敏感な箇所を突かれでもしたら、どうなってしまうのだろう。そんな考えがふとよぎって胸の内が疼く。異物感にも慣れてきて、千佳はねだるように明のことを見上げた。 「っ、明……もっと」 「もっと、なに? あんま動かない方がいい?」 「ちがっ――さっきみたく、イイトコほしい……」  言うと、明の瞳に情欲の炎がちらついた気がした。

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