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帰還
side:柚希(リシェ)
「柚希。」
「涼一さん…って呼ぶの本当に久し振りだね。」
「ああ。俺から呼ぶのも久し振りだ。」
涼一さんに出された手に手を差し出し、手を繋いで歩く。
当然、恋人繋ぎで…。
柚希と呼ばれてはいるけど、僕の外見は装置にログインした、金髪蒼瞳のリシェ=シェイネスの姿。
涼一さんもやはりログインした時の姿だった。
「…親子に見えるかな?」
「その方が都合がいいだろう?こうして大っぴらに手が繋げる。」
「うん!」
涼一さんに笑顔を向けると、涼一さんも笑い返してくれる。
それだけで僕は幸せだ。
まずは僕達が住んでいた場所。
住んでた家の地下に装置があって、こちらに置きっぱなしの身体は、凄まじいテクノロジーのもと保管されていた。
身体に入ってみて、百年以上中身が無かったとは思えない状態だった。
多分…涼一さんが作ったんだろう。
地下から出ると、研究所みたいになってた。
「鷹宮バイオテクノロジー研究所?」
看板を読んでみるけど、人が見当たらない。
「ここは俺達の身体が眠っているから、機械が稼動してるだけだ…と思う。俺が設計したが、輝が変更した可能性もあるしな。」
「成程……でも、百年以上経ってるのに、鷹宮ってブランドでまだあるんだね、凄いな。」
「後からどうにかしてくれたのは輝だからな。」
「いや、設計したの涼一さんでしょ?充分過ぎる程涼一さんも凄いよ。」
「そ、そうか?」
「うん!」
頷くと涼一さんは少し顔を赤くして、嬉しそうな笑顔で僕を抱き締める。
涼一さんて子供時代、アレク様の魂の影響で、嬉しいとか感情が無かったから、それを取り戻すように、褒めると凄く喜んでくれる。
嬉しそうな涼一さんを見るのは僕も嬉しいから、よく褒めちゃうんだよね。
「涼一さん偉い!」
涼一さんの頭を撫でると、涼一さんは気持ち良さそうに目を細める。
「柚希…愛してるからな。」
僕を抱き締める腕の力が強まった。
僕も嬉しくなって微笑む。
ふと、余り時間が無い事を思い出す。
「あ、そうだ!早く他に行かないと、日が暮れちゃう!」
気付いて声を上げると、涼一さんの顔が結構近かった……あ、もしかして、キスしようとしてた?
「涼一さん……。」
「ああ、いや、早く行こう。」
「ご、御免ね。」
「そういう柚希に惚れたんだから、いいんだ。」
僕がばつが悪そうな顔をしたから、涼一さんは愉快そうに喉で笑った。
「…あった……。」
煌父さんの双子の弟の、輝叔父さんのお墓。
他に女性の名前が書いてあるから、結婚はしたんだ。
墓石に花束を飾る。
「輝…助かった、有難う。お陰でこっちに帰って来れた。」
涼一さんと輝叔父さんとの間に、僕が知らない絆があるんだろう。
涼一さんが技術を、僕達の身体を託したんだから、きっと深い絆が。
僕は僕で小さい頃、すっごく輝叔父さんに可愛がって貰えた思い出がある。
この墓地はシェイネス家の裏手にあるから、シェイネス家にも足を運んだ。
「あれ?」
玄関の鍵が開いていた。
中に入ると……。
「遅い!」
「ね、姉さん…とお祖父さん。」
「リシェと涼一君も来たんだね。」
「ご無沙汰してます。」
涼一さんがお祖父さんに会釈する。
「闇の国の発展は目を見張るものがあるね。こうなる事を予想して闇の力を怖がっていたのかも知れないね。」
「あたしは単なる偏見だと思ってるけどね。」
姉さんとお祖父さんは昔、闇の神と戦ったそうだ。
そこで二人は知り合ったんだって。
でも、ちゃんと闇の人達を見てるんだなって。
「それで、ラデルト義兄さんとファルは何をしてるんだ?」
「実家が気になってたからね。輝の事も知りたかったし。」
姉さんがここに居た理由を説明してくれた。
つまりは輝叔父さんがそのままここで暮らしてたんだ。
「ん?あ、でも、輝叔父さんも姉さんの息子だから、姉さんの子供として再び産まれるんじゃ?」
「ああ、産まれてるわよ、とっくに。あんたがしょっちゅう妊娠してるから忙しいかと思ってね。」
ニヤニヤする姉さん。
「俺の柚希の愛らしさを見ているだけで、俺は二十四時間盛れるからな。」
涼一さんが助け船を出してくれたけど、却って恥ずかしかった。
僕とお祖父さんが赤くなってしまう。
「ラディったらこういう免疫が未だに無いのよね。ベッドでは凄いのに。まあ、そこが可愛いんだけど…。」
「ふぁ、ファル!」
「姉さんが下品なのは相変わらずなんだね。」
思わず目を据わらせる。
「あら、ベッドの事言ったらあんた達の方が激しそうよね。」
「ファル、ストップ!」
「もう…ラディったら、こういう時はキスで黙らせるものよ。」
「ファルが惚れたんだから、ラデルト義兄さんも凄いと思いますよ。某馬を乗りこなすと言うか、手綱を握っていると言うか。」
「ちょっと、言ってくれるじゃない涼一君。」
でも楽しそうな姉さん。
「涼一さん、もう行こう。」
「あらー、冷たいわよ弟。」
「姉さん達が健康そうだからもういいし。」
「リシェ…柚希君、また向こうで会おう。」
「うん、お祖父さん……ラデルト義兄さん。」
姉さんはラデルトお祖父さんの孫であり妻というややこしい関係だ。
異世界では同性の結婚は当たり前ながら、血族との婚姻もOK。
重婚はおろか、一夫多妻とかもう何でもありだから、二人がまた夫婦になるのに何の問題も無い。
二人に手を振ると、再び涼一さんと手を繋いで、久し振りの街に繰り出した。
アイススケート、水族館。
過去涼一さんと行った所を巡る。
そういえばリシェールも一緒だった事もあった。
百年以上経過してるのに、全く思い出が色褪せてない。
昨日の事のように憶えてる。
「涼一さん、あれ飲もうあれ!」
カフェに涼一さんを引っ張る。
席に着きながら涼一さんが笑う。
「な、何か僕変だった?」
「いや、遠慮が無くなったなぁと。嬉しい限りだ。」
「ず、図々しかった?」
「嬉しいって言ったろう。」
笑いながら僕の頭を撫でてくれる。
「で、ね、これ飲みたい。」
僕がこの店に入ったのは、入口近くのカップルが飲んでいたのを見たから。
早速注文すると、割りと早く商品が提供された。
涼一さんが眺めている。
少し考えて結論が出た様子になる。
「じ、じゃあ、飲もうか?」
「成程……これはいいな。」
ジュースに刺さったストローの真ん中ら辺がハート型に形作られていて、飲み口が二つに枝分かれしているという形状の…カップルストローって言うのかな?
僕がジュースを吸うと、涼一さんも同時に吸ったため、あんまり口にジュースが入って来ない。
初めての経験に涼一さんも吸ったり吹いたりして、次第に丁度良く飲める加減を見つけた。
「柚希の方がこういう事は詳しいな。」
「僕も人伝だよ。一度涼一さんとやってみたかったからね。」
「そうか!後は何をしたい?柚希の望みは全て叶える!」
すっごく嬉しそうな涼一さんに問い詰められる。
僕の要求を聞くのが嬉しいって、よく言うからね。
「うーん…後は、ゲームセンターとか?」
「ゲームなら家でやる方が良くないのか?」
「プリ機とか…。」
「成程…写真か。フォトスタジオよりもいいのか?」
「自分でね、写真に文字書いたり出来るんだ。」
「柚希は物知りだな。」
「学校時代に友達に教えて貰っただけだよ。」
「俺の友達は激しく偏っていたからな…。」
涼一さんにもフォローしてない娯楽はあるみたい。
僕が教えてあげられるって珍しい事だから、貴重かもしれない。
ドリンクを飲み終えると、ゲーセンに向かった。
入ってすぐ脇にあるクレーンゲームが目に入る。
「柚希、何か欲しい物はあるか?」
聞かれたけどふと思った。
『あのぬいぐるみ。』
『よし、筐体ごと…いや、せっかくだから会社ごと買おう。』
ってなるのが想像ついてしまった。
「うーん…。涼一さんは欲しい物ある?」
「そうだな…フィギュアなんか最近は造りが細かいから、参考になるな。」
あれとか、と指差す先を見ると、ちょっと…エッチな感じ。
「いや、エロいからとかじゃなく、肌の塗りとかが参考になってだな!」
「あ、うん、勉強になるよね。取ってみたら?」
言い訳が続きそうだったので、僕が目的の場所に引っ張って行った。
「んー、こういうのって一回で取れないよね?」
「そうだな、コツがわからない事には…。」
コインを入れて、涼一さんを見守る。
と…予想はしたよね。
数回惜しいとこまで行くと、すぐにコツを掴む涼一さん。
「あっ、凄い!もう取れちゃった!」
一つ取れると全種類集めたくなったようで、景品の置き換えとかを店員さんに頼みながら、順調に取って行く。
最後の一個になると僕に機械を譲り、操作を教えてくれる。
「うわぁ、取れた!」
初めて取った!
何か嬉しい!
「上手だな、柚希。」
僕の頭を撫でながら褒めてくれる。
「でも自分だけじゃ絶対に取れなかったから、涼一さんの指示が凄かったんだよ。」
尊敬する眼差しを向ける。
「ここがホテルなら!」
感極まって僕を抱き締める涼一さん。
「あ、後でね?」
涼一さんの背中を叩いて落ち着かせる。
涼一さんは僕を離すと、両替に向かった。
待ってる間に凄い量の景品を取ってる男の人が居たから、それを眺めてた。
僕の視線に気付いたようで僕をじっと見て来たので、取り敢えず笑顔を向けてみた。
するとその人は、慌てたようにゲームの方を向いてしまう。
涼一さんもそうだけど、可愛い景品が多いのに、大人のプレイヤーが多いんだなって気付いた。
男の人は二、三回プレイすると此方に来て、話し掛けて来た。
「あ、あの、み、見てた?」
「あ、御免なさい。凄いいっぱい取ってたので、見てれば僕も取れるのかなって。」
「お、教えるから、やってみない?」
男の人は眼鏡を弄りながら、落ち着き無く話し掛けて来る。
涼一さんの方は、休日だから両替が混んでるみたいでまだ戻らない。
「あ、じゃあ教えて貰えるかな?」
「う、うん!じゃあまずは見てて。」
男の人の操作の速い事。
でもまあ必要な操作は少ないから、見て覚えられそう。
程無くして男の人は一つを一度で取った。
「わー、凄い!一回で取れちゃうんだ!」
拍手して感激を表すと、男の人は赤い顔で照れる。
「こ、今度は、君、ど、どうぞ!」
男の人は機械に五百円硬貨を入れたらしく、まだプレイ出来る状態だったので、終わってから払えばいいのかな。
「えーと…。」
僕が操作を始めると、男の人が的確に指示してくれた。
「ほ、ほんとに取れちゃった…有難う!楽しい!」
「よ、よかった、ね。」
「うん、貴方が教えてくれたお陰だね!」
手を叩いて感謝と感激を伝えると、男の人は顔を更に赤くしてしまう。
僕はプレイ代を男の人に差し出す。
「そ、それ、あげるよ!」
そう言うと男の人はお金を受け取ってくれなかった。
「えっ?と、じゃあ…有難う。」
笑顔で礼を言ってから、景品をよく見ると、犬耳型カチューシャだった…ぬいぐるみだと思ってたよ…。
ようやく涼一さんが戻ると、何か察したのか男の人は逃げるように立ち去ってしまう。
涼一さんは恐らく男の人との遣り取りを見てたようで、男の人を一瞥で見送っただけだった。
「相変わらず社交能力が高いな。」
「ううん、向こうから話し掛けて来てくれたんだよ。」
「それは見てたが…。」
何か言いたげだったけど、ここで話してても仕方無いから、すぐにプリに移動して撮影して…。
写真に文字を入れながら、人目が無いのを良いことに、ちょっとだけキスしたりしちゃってた。
うん、デートらしい。
その後も服を見たり。
あっちとこっちでは服の流行りとかも違うから、見てるだけで楽しかったんだけど、涼一さんが僕の服を大量に買った……。
こっちそんなにきっと来れないのに。
涼一さんが満足そうなのでいいんだけどね。
最後は…遊園地。
あの観覧車…。
乗ってから、この観覧車に乗った時の事を思い返す。
「ここ、まだあったんだね。」
「多分改修くらいはしてるとは思うけどな。」
向かい合って座って、外に視線をやってから涼一さんを見ると、涼一さんも思うところあるのか、同じように外に視線を向けていた。
「リシェールも来れるようになるかな?」
今はまだリシェールはこっちに来れないっぽい。
「もう少し育ったらきっと来れるようになる。俺らの子だしな。」
「そうだね。」
涼一さんが漸く満足したらしく、視線を僕へ向けた。
「そう言えば今の姿でここ来るの初めてだね。」
一度目は婚約指輪を貰った日に。
二度目はリシェールと三人で。
「そうだったな…。」
涼一さんが答えながら、僕に手を伸ばして来た。
「リシェ=シェイネスとしても…貰わないとな?」
「あ……。」
僕の顎を頬をと撫でながら告げられた言葉に、頬が熱くなる。
「全く…記憶が無いのに俺の事が好きだって泣くから、危うく欲望のまま押し倒す所だった。」
「…だ、だって…涼一さんが…凄く優しいし、それでいてカッコいいから…。」
「そんな口説き文句で…誘ってるのか?」
涼一さんの手は優しいのに、僕に向ける視線が怖くなる。
「あ、えと、今ここじゃなくて……っ。」
顔が上を向かされてキスされる。
視界の端で、いつの間にか頂上についていた事を知る。
僕は身体の力を抜いて涼一さんに身を委ねると、キスをしながら涼一さんが僕の左手の薬指に指輪を嵌める。
唇を離して指を見る。
「あ…これ?」
「生まれ変わって来たら渡そうと、同じのを作っておいた。」
涼一さんがずっと嵌めてるのと同じデザインの…夫婦の証。
「うん…有難う。」
ちょっとだけ涙が溢れてしまう。
でもどうにか笑顔で言うと、涼一さんは涙を啜ってくれた。
あんまり長く地球には居られない。
家…研究所に戻ってすぐに異世界の方に帰る。
地球の身体では寿命を削っちゃうから。
それにあんまり至高の間を空けとくのは良くないと思うし。
「母上!…と父上、お帰りなさい。」
「父上、母上、お帰りなさい。」
リシェールとエイリシュが僕とアレク様の寝室で出迎えてくれた。
リシェールがちょっと落ち込んでいるよう。
「リシェール、どうかした?」
尋ねながら抱き締める。
もう僕の身長を追い越しそうだ。
「地球にはいつになったら私も行けるのでしょうか?」
「必ず行けるから心配しないで?僕だってリシェールの年齢の時はまだこっちに渡れなかったんだからね。」
「リシェール兄上、父上がきっと何とかしてくれます。」
エイリシュの方はアレク様をかなり信頼してるんだよね。
「そうだな、一刻も早くあっちに行けるように改良してみるか。」
「有難う、父上。」
素直にお礼を言うリシェール。
リシェールは本当に前世を覚えていないのかな?と思うほど、何となくアレク様への受け答えが微妙だ。
礼を言うとすぐにリシェールは僕の背中に腕を回すように抱き付いて甘える。
「リシェール、お前そういう所が子供だから、精神的に成長しなくてあっち行けないのかもしれないな。」
アレク様もこういう時は子供みたいで、本当に似た者親子だなって。
「母上に甘えられるのなら、子供でいいです。」
リシェールはアレク様を睨みながら言い切る。
「…じゃあ、今日は一緒に寝ようか?」
「はい!」
僕の提案にリシェールは即答した。
「リシェ、今日は俺の……リシェール、お前の弟妹を増やしてやるから、今日は大人しく自分の部屋で寝ろ。」
「あ、アレク様!子供に何て事を…!」
僕は赤くなってオロオロする。
「当分要らないのでは?もう八人も弟妹が居るのだから。」
「エイリシュはもっと弟妹、欲しいよな?」
エイリシュを抱き上げながらアレク様は問い掛ける。
「はい、弟妹が増えるのは楽しいです。」
「え、エイリシュ…!」
やっぱりエイリシュはアレク様に好意的だ。
裏切られたような顔したリシェールがへこむ。
「今日は…ね。四人で寝ましょう?意外と神殿に行くのは早くなりそうですし。」
「…そうか。仕方無い、今日は一緒に寝るのを赦してやる。」
アレク様はエイリシュをベッドの上に置くと、こちらに近付いて来て、リシェールごと僕を抱えてしまう。
「馬鹿力…。」
「お前達が軽いんだ。」
「アレク様の腕の中は安心出来ます。」
「リシェ…可愛い。リシェールも母を見習って可愛気を身に付けた方が人生楽になるぞ。」
「煩い。私は人を選んで的確な態度を取っているのです。」
何だか半分昔のリシェールっぽい気が…。
四人でベッドに横たわると、リシェール・僕・エイリシュ・アレク様と並んだ。
アレク様が「俺はリシェの隣だ!」って叫んでたけど、子供の意思優先でアレク様には僕に手を伸ばしてもらうという結論でどうにか収まった。
気付くとエイリシュが僕をじっと見てた。
「エイリシュ、どう、楽しい?」
「はい、楽しくて充実してます。」
あの時破壊神だった子供が、最後に向けた瞳によく似ていた。
二人が眠るまで会話をしたり、眠りやすいように頭や背中を撫でたりして、うとうとしだしたところで僕はそっとベッドを抜け出して、他の子回りをして(普段はシッター的な役割の人に見てもらってる)、問題が無いようなので安心して寝室に戻った。
「お帰り。」
「アレク様、待っててくれたんですか?」
「俺はリシェの寝顔を見ないと眠れないからな。」
一度アレク様に抱き付き、お休みのキスをする。
舌を絡めるけど余り長くしないで離れる。
互いに刺激しちゃうからね。
さっきの位置に戻ると、お休みのキスを二人にもしてから身を倒す。
アレク様の手が伸びて来て、僕の髪を優しく撫でてくれる。
もうね、何もかも問題無いくらいに幸せだな…。
「ん、どうした?」
僕は自然と笑顔を浮かべてしまったようで、アレク様が尋ねて来る。
「アレク様と幸せになれるんだって信じてたら、それ以上にもっともっと幸せになったなーって実感しちゃって。」
「ああ、俺も幸せだ。世界はあらかた問題が無くなって、その世界でリシェとの子供達が居て…リシェと永遠を過ごせる。もうこれ以上何も望む事は無いぐらいに幸せだ。…リシェ、有難う。」
「この幸せはアレク様が造ってくれたんですよ。お礼を言うのはこっち……んっ。」
アレク様が僕の口に人差し指を当ててしまい、最後まで言い切れなかった。
「二人の愛の力だろう?」
「はい、二人の想いの力ですね。」
アレク様と笑い合った。
『何度生まれ変わっても 何度でも愛する』
その想いの終着点に、僕達は辿り着いた。
true end
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